「これから、一緒にご飯でも行こうよ」

口説きたい人を目の前にして、このように相手を誘う人は多いと思います。

私も相手が断らないと分かっている時は上のような言い方をするのですが、もしかしたら断られるかもしれないという時には、もう少し違った言い方をします。

例えば、上のセリフを以下のように変えます。

「ご飯にしようか?それともお酒が良いかな?」

さて、このセリフに隠された秘密、あなたは気付きましたか?

選択肢をすり替え、ダメなら条件を弱くする

そう、先ほどのセリフには「行くか、行かないか」という選択肢がすっぽり抜けていて、代わりに「どこへ行くか」という選択肢が与えられているのです。

雰囲気に流されやすい相手であれば、「え?ああ、じゃあご飯で」のように返ってくるでしょう。

断るという選択肢が提示されていないため、何となく断れずに、ついこちらが提示した条件の中から選んでしまうのですね。

ただ、もちろん「ああ、ちょっと今時間が無くて」などと言って断ってくる相手もいるでしょう。

そういう時は、次のように切り返すのです。

「じゃあお茶だけでも良いから付き合ってよ。ケーキごちそうするよ」

こうすると相手にも「お茶ぐらいなら時間も取られないし、まぁ良いかな?」という心理が働いてきます。

これは、始めに「ご飯 or お酒」という、比較的大きめの条件を提示しておいて、相手が渋ったら「お茶だけ」という前に比べると小さく見える条件を提示することで、相手の抵抗感を和らげ、イエスと言わせる手法ですね。

ちなみに、これらはよくセールスの場でも使われる、れっきとしたテクニックなのです。

ワンポイント

さらに「30分だけ」のように短い時間を合わせて提示すると、より相手からイエスが返ってくる確率が高くなります。

これは恋愛工学で言う「タイムコンストレイントメソッド」というもので、時間を短く制限することで相手の心理的ハードルを下げる効果があります。

※恋愛工学についてはこちらの記事「【恋愛工学】ビギナー向けテクニックまとめ」で触れています。よければ参考にしてください。

具体的なコツ

例えば以下のようなポイントに気をつけてセリフや文章を組み立てましょう。

1.相手がノーと言える選択肢を与えない

ありがちなのが本記事の冒頭でもお伝えした「○○してくれますか?」という質問です。

これは相手に「○○する/○○しない」の選択肢を与えてしまっています。

なのでこれを「○○をしてください。その後でもしよければ××をしてくれますか?」のように変えましょう。

選択肢の対象を○○から××に移すことで、あたかも相手が○○することがすでに決まっているかのように錯覚させられます。

仮に断られてしまったとしても「じゃあ××は良いので、○○だけでもお願いできませんか?」のように、ハードルを下げることで相手の同意をもらいにいくことができます。

2.明確なニュアンスを避ける

日本人特有のものかもしれませんが、多くの人が明確に意思表示をすることを嫌います。

例えば、「とても良い/良い/普通/悪い/とても悪い」といった5段階評価のアンケートの集計結果は、「良い/普通/悪い」の真ん中の3つに集中する傾向にあるようです。

あなたもこういったアンケートで、どれにマルを付けるか迷った経験があるのではないでしょうか?

だとすれば、相手に明確な意思表示をさせるような質問をしても、あなたの望む答えは返って来ない確率が高いと言うことです。

例えば「○○は好きですか?」と言った表現は、相手の心に「明確な意思表示をしたくない」と言った抵抗を生むことがあります。要注意です。

3.相手が自然とそうしたくなるように仕向ける

これはあえて質問をしないという、超上等テクニックです。

例えば、よく深夜に「絶対に開いてはいけない」と銘打って、おにぎりやらラーメンやら焼きそばやらの画像を淡々と貼られて行くスレッドが2ちゃんねるやVIPなどのサイトであるのをご存じですか?

スレ主は別に「夜食でも食べなよ」とは言っていませんが、スレを見ている人たちは「ふざけんな、まじふざけんな」「腹減ってきた」「ラーメン作ったわ」「明日食いに行こう」などと、勝手に行動をし始めるのです。

使える場面が限られている上、コツを掴まないと実用は難しいのですが、上手く使えれば最強のテクニックとなります。

ワンポイント

上手く使えた時の傾向として、食欲や性欲といった本能からくる衝動に対してアプローチした時がやはり成功しやすいですね。

一貫して守るべきは「抵抗を感じさせない」ということ

上に書いたコツですが、一貫しているのが「質問をすることで相手に抵抗を感じさせてはいけない」ということです。

人は抵抗、もしくは違和感を感じた時点で「もしかして自分は今、相手に操作されているのでは?」と無意識に身構えてしまう習性があります。

一度身構えてしまえば、それ以降はあなたがいくらお願いしても相手の心に届くことはないでしょう。

相手にノーと言わせたくないのであれば、こちらはムキにならず、力も入れず、ただふわふわと相手の目の前に条件を提示するだけで良いのです。

そして相手がその条件に対してイエスと言いたくなるような仕掛けを、言葉の端々(はしばし)に散りばめておくのです。